(2008年01月07日)

年間見通し:ドルは年前半下落、年後半に反転上昇を予想

2008年のドル円相場は、年前半はサブプライム・ローンに関連した米金融機関の追加損失懸念が燻る中でドル安懸念を払拭しきれない展開が続く見込みだ。しかし、年後半に入ると米住宅市場調整が一巡し、金融不安への懸念も徐々に薄れていく中でドルは持ち直していく展開を予想している。

サブプライム・ローン問題に関しては、米政府や中央銀行、民間金融機関などからの対策が打ち出されており、過度なドル下落不安は後退している。しかし、証券化商品投資に関連した金融機関の評価損拡大への懸念は消えておらず、当面ドル下落リスクは燻り続けるであろう。

FRBは、国内経済の減速を背景に2008年の1〜3月期には追加利下げに踏み切る可能性が高い。為替市場でも米日金利差の縮小とともにドル売り圧力が強まる展開が予想される。

しかし、2008年後半に入るとこうした状況にも変化の兆しが現れ始めるだろう。住宅在庫調整圧力は年内続く見込みながら、年央には徐々に一巡感が出始める見込みだ。FRBの利下げ観測は後退し始め、市場の織り込む利下げ期待が剥落する過程でドルの買い戻しが進むと予想している。米株価も緩やかな上昇局面入りし、信用懸念の緩和と共にドルのサポート材料となろう。

日本については、個人投資家の動向が注目される。個人取引は、外為証拠金(FX)取引と外貨建て投資信託購入に伴う外貨取引に大別される。前者のFXについては、夏場のサブプライム・ローン問題の深刻化以降一時取引が縮小していたものの、11月の円高局面では再び復活しつつある模様だ。逆張りの投資スタンスが中心であるため、相場の過度な変動を抑制する要因になるだろう。

外貨建て投資信託も世界的な信用不安の拡大や、国内の金融商品販売法施行の影響を受けて、11月には販売が鈍化した。しかし、日本では低金利継続が見込まれており、国内預金の投資妙味は小さい。団塊世代の退職が続く中で、年金給付の補完的な位置付けとして、毎月分配型投信などへの需要は今後も拡大するだろう。2008年には外貨建て投資信託の販売は回復し、為替市場に一定の円安圧力をかけると予想している。



プロフィール
吉田 健一郎(よしだ けんいちろう)

みずほ総合研究所株式会社
調査本部 市場調査部 シニアエコノミスト

【略歴】
1996年3月 一橋大学 商学部商学科 修了
1996年4月 (株)富士銀行 入社
1998年10月 同国際資金為替部 為替対顧客ディーラー
2002年4月 みずほ銀行市場営業部 為替対顧客ディーラー
2004年4月 みずほ総合研究所(株) 調査本部 経済調査部
主に為替相場、原油相場を担当。

【著書】
「日本経済の明日を読む2007」(共著、東洋経済新報社 2006年)