(2007年02月28日)
森実・東穀取理事長が講演ー春季市況特別講演会

東穀協会・東京穀物市況調査会共催による春季市況特別講演会(東京会場)が26日、東穀取で開催された。21日の粗糖・コーヒー市況講演会に次ぐもので、今回も2部構成で行われ、第1部では森實孝郎・東穀取理事長が『国際穀物需給の見方(チェックポイント)』をテーマに講演した。第2部は『食糧からエネルギーの色彩強める穀物と市況分析』をテーマにしたパネルディスカッションでパネリストは丸紅食料部門長補佐の石神高、アンドレィ・ファーイースト取締役穀物部長の大本尚之、ユニパックグレイン代表取締役の茅野信行、伊藤忠商事食糧部門市場調査室長の岩崎正典の各氏。
第1部の講演で森實理事長は、『国際穀物需給の見方』から中国、インドの大輸入国への移り変わり、供給構造の変化、需給変動要因の3つを取り上げた。
まず、中国やインドが大輸入国として台頭するまでの経緯を説明。米国の大豆の歴史が浅いことや、冷戦時の農作物への影響などを踏まえながら、21世紀の農産物の貿易で重要なのは、中国とインド、との見方を示した。
その中国、インドの大輸入国への背景として、経済成長と人口増加を挙げた。サラダオイルを例に挙げ、摂取量は変わらなく消費量が増える、と指摘。また、中国の社会主義は農業に馴染まないとし、空洞化が進んでいる、とした。
供給構造の変化は、農作物の品目別に説明。大豆の生産は、南米三国(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ)が世界最大とし、エルニーニョや大豆ミールにも触れた。とうもろこしでは、移動3カ年平均のトレンドが有効なことや中国の在庫調整などを説明し、アルゼンチンの台頭や、アメリカの世界における4割弱のシェアの重要性、日本は世界最大の同製品の輸入国である、とした。
小麦は問題点などに触れた。「インドの輸入がこの先も増える」との見方や、オーストラリアの生産量が干ばつのために不安定なことを、「憂慮すべき点」と述べた。コメは、生産などで問題点が少ない、と指摘した。
需給変動要因としては、農業技術や天候などを挙げた。現在の世界の農地面積は一杯なため、その面積からどれだけ多く収穫するかという農業技術向上を重要課題、とした。また、天候はエルニーニョや温暖化などを例にあげ、「地球のことは人間はわかっていない」と述べた。
最後に同氏は、これからの農作物需給の見方をアドバイス。「需給変動を頭に置いて、勉強する材料をチェックすること。各データを解析し分析する能力を持つことが必要」とし、講演を締めくくった。
続く第2部では、パネルディスカションが行われた。
まず、シカゴ・コーン相場の見通しについて討論があり、4氏そろって「(ブッシェル当たり)5ドルを超える水準に達するだろう」(石神氏)など強気の見方を示した。
その背景としては、エタノールの非常に好調な需要が続いていることが挙げられる。ブッシュ米大統領が一般教書演説で掲げた350億ガロンのエタノールをはじめとする再生可能エネルギーの消費を実現するとの発言に対して意見が出た。この350億ガロンについて岩崎氏は「将来達成できるかどうか保証の限りではない」と述べ、茅野氏は「実現不可能」と指摘。
さらに、大本氏は「エタノール事業は随分利益がとれている。350億ガロンの実現の是非はともかくとして110億ガロン程度のものは生産されることが約束されている」と述べた。
最後に各パネリストから穀物相場の見通しが出され、シカゴ大豆について石神氏は「天候次第で(ブッシェル当たり)10ドル近くまで上昇する可能性があるが、修正局面で6ドルまで下がる可能性もあり、上げ下げの激しい相場になるだろう」と指摘。
また、大本氏は「夏場までで上値は8・50ドル近辺、下値は7・20ドルか7・40ドルあたりか」との見方を示した。茅野氏は「9ドルくらいが上値で、下値はそこから1・50ドルほど下だろう」と予想するなど、波乱含みでありながら大豆についても大方強気の見通しが出された。
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