(2008年05月14日)
米サブプライムに揺れる―明治実践相場勉強会(下)
明治物産が10日に行った実践相場勉強会では、第一部で、五十嵐敬喜・三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部長が「サブプライム問題に揺れる国際金融市場と為替相場」と題し講演を行った。
1年先の経済のことは、過去の例などからある程度の予測は可能である。当たる保証はないが予測通りになるのであれば、市場はその方向へ徐々に見方を変えていく。今の経済を知ることは、市場がどう見ていくかということに繋がる。
日本企業全てを、一つの株式会社と仮定してみる(以下日本株式会社)。日本株式会社は、2008年3月期で6年連続で増益となった。これは初めてのことである。だが、この6年間で輸入物価が対前年比で一時20%も上昇するなど、仕入れコストが高くなる一方、売上単価は上がっていない。これは減益要因だが、数を売り増益とした。
日本の輸出依存度(海外需要の割合)は、6年で急激に上昇し戦後で最も高い水準となっている。日本が、今ほど輸出に依存している時期はなく輸出動向は重要だ。
輸出がどれくらい伸びるかは、世界経済を見る必要があるが、07年は5%成長となっている。これは、1970年代以来となる30年ぶりの高成長。日本の製品が買われると、世界景気が伸びる傾向がある。
そのため、米国の5%成長に対する貢献は小さくない。日本も輸出に依存していることから、米国の景気がどうなるか気になるところだ。サブプイライムローン問題に目を向けてみる。
米住宅ローン延滞率は、04年以降急上昇。過去に経験したことがない上がり方だ。サブプライムの30日以上の延滞債権の割合は、足元では17・31%。プライムは3・24%。全体でも5・82%であり、サブプライムの延滞率はさらに上がって行きそうだ。
注目は、06年に貸し出されたローン。1年程しか経っておらず、金利の見直しが行われていない。さらに、住宅ローンが1000兆円程であり、130兆円くらいがサブプライムといわれている。そのうちの40%くらいが06年に貸し出されているため、この問題はこれだけでは済まないといった恐れを抱かせる。
サブプライム問題の仕組みは、住宅ローン会社(銀行からお金を借りて住宅ローンを貸す)が、借り手にお金を貸す。この貸出債券を転売し、手数料で稼ぐことを繰り返す。転売先は、シティバンクやメリルリンチなどの商業銀行や投資銀行。世界に名だたる機関にあたる。
こうした機関は、住宅ローンから買った債券を集め証券化し、世界の投資家に売る。これを住宅ローン担保証券(RMBS)という。ただ、元はサブプライムの債券のため、これを格付けても「AAA」は付かない。多くの投資家は「AAA」でないと買わないため、さらに色分けする。例えば「松竹梅」と色分けした場合、「松」を持っている投資家は良いが、「竹」はリスクが高く投資家はより高い利回りを求める。これに応えたものが、債務担保証券(CDO)である。
そのCDOを持っていたのが、ヘッジファンド。ファンドは、投資家から10のお金を集めたら、90は銀行からお金を借り100で運用する。CDOが暴落したことにより、ファンドは資産を売るしかなくなり、これにより日本株も売られた。
これに対し、もう一つリスクを手放す方法として、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場がある。これは信用リスクの保険に当たり、大手金融機関は、買うだけでなく受けることもやっていた。ベアー・スターンズもそうである。
今後の損失見込み額として、07年9月に国際通貨基金(IMF)は2000億ドルを見込んでいた。ところが、わずか半年後の08年4月には約1兆ドルに修正している。この中にCDSは含まれておらず、今後はヘッジファンドの破綻やCDS市場が崩壊することがあったら、損失額はこれだけでは済まなくなるだろう、とした。
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