
ニッケル最高値から半値以下に下落、投機資金の流入期待薄
ニッケルの国際相場がトン2万2000ドル台と、昨年5月に記録した過去最高値から半値以下の水準に下落している。米サブプライムローン問題による金融市場の混乱が収まったことからドル安が一服。それまで非鉄金属市場に流入していた投機資金が一転して流出していることが背景にあるのだが、ニッケル独自のファンダメンタルズを分析しても、投機資金の流入は期待できそうもない。 国際指標のロンド金属取引所(LME)のニッケル現物相場(セツルメント)は、昨年5月にトン5万4200ドルの過去最高値を記録した。欧州や中国などのおう盛なステンレス需要や、鉱山の供給障害などを理由に、ヘッジファンドなどがワラント(倉荷証券)の8割を買占め、売り方に対してスクイーズを仕掛けたことが背景にある。 しかし6月に入るとLME当局の規制が入り、これを契機にLMEニッケルは過去最大の暴落を演じた。すでにこのとき、世界のステンレス需要が減産傾向にあり、ファンダメンタルズ面での買い材料は乏しかった。LMEの規制は格好の売り材料になったわけだ。 それでも秋から今春までは金融市場の混乱から逃避してきた資金が非鉄市場にも向かい、LMEニッケルは2万5000ドルを下限に比較的堅調に推移していた。ただ、足元では回復基調にあった中国のステンレスが再び減産、日本の需要も弱く、投機妙味は一段と乏しくなっている。 ニッケル需給が2年連続で供給余剰になることも投機資金が入りにくい要素。BHPビリトンの豪ラベンソープのHPAL(高圧硫酸浸出)プロジェクト稼動などにより供給量が拡大するためだ。住友金属鉱山は08年の需給を3万7000トン、国際ニッケル研究会では7万6000トンの供給余剰と予測している。| プロフィール |
増田 正則(ますだ まさのり)株式会社産業新聞社所属 非鉄金属担当 記者 |








