(2008年08月25日)

中国で電気自転車特需が終焉、ネオジムと鉛の国内価格が下落

中国が世界生産の90%以上を占め、同国の輸出規制強化などの影響で安定供給が懸念されている希土類(レアアース)。希土類元素の中の一つ、永久磁石に使う金属ネオジムの国際価格が最近弱含んでいる。一方で自動車用蓄電池に使う鉛の国際価格も、7月には3月の年初来高値から半値以下のトン1500ドル台に下落したのだが、この2つの金属の価格下落には、ある共通した話題が関わっている。

電気だけで時速20―30キロの速度で数十キロの距離を走ることができる「電気自転車」。中国では環境に優しく運転免許も不要なため、オートバイの代替として98年頃から普及・拡大してきた。

昨年6月頃にキロ50ドル(CIF日本)超の過去最高値を記録した金属ネオジム。昨年10月にトン3980ドルの過去最高値を記録した鉛。価格高騰の一因には電気自転車人気があったというのが定説だ。金属ネオジムは駆動源のモーター用永久磁石に使われ、鉛は蓄電池に使われていた。もちろん、輸出規制や生産障害といった供給側の因子が働いたことも事実である。

さて、爆発的な需要を創出した電気自転車だったが、北京市内など大都市では新規登録が出来なくなってしまった。自動車などと一緒に公道を走るため、「危険性が高い」と判断されたようだ。そして電気自転車の中古品が地方に流れ、電気自転車の新規需要は大きく落ち込んだ。

価格高騰を受け、金属ネオジムも鉛も生産は拡大傾向にある。このタイミングで昨年まで需要を押し上げていた電気自転車人気が急低下。金属ネオジムは在庫を抱えた業者の安値換金売りが増えており、この1ヶ月間で10%以上下落した。

金属ネオジムの国際価格は今後も中国の輸出政策に大きく左右されるだろうが、一つのブーム終焉で短期的には下値探りの展開となりそうだ。国際金融市場の影響を受けやすい鉛も、需要面から価格を押し上げる力は乏しいだろう。



プロフィール
増田 正則(ますだ まさのり)

株式会社産業新聞社所属
非鉄金属担当 記者