(2009年02月16日)

豪の希土類開発が中断、ファンドが資金供給を拒否

オーストラリアで希土類(レアアース)鉱山の開発プロジェクトを進めていた豪ライナス社が先週10日、プロジェクトの中断を発表した。9500万ドルの開発資金の供給契約を結んでいたヘッジファンドが、昨秋以降の金融危機と資源価格の暴落の影響などにより資金供給を拒否したことが理由という。

希土類はネオジム、ランタン、セリウムなど17元素を総称した鉱種。とくにネオジムは小型モーターに使う磁石の主原料で、ハイブリッドや電気自動車、省エネ家電などには必要不可欠。ランタン、セリウムなどもデジタル家電には欠かせず、日本の基幹産業を支える上で重要な資源である。

ただし繰り返し説明しているが、希土類の世界生産シェアの90%以上を輸出規制を強める中国が占めており、日本にとっては希土類の安定供給体制の確立が喫緊の課題だ。

需要増と中国の輸出規制で希土類価格が高騰。これを受けライナス社をはじめ豪州、カナダを中心に新規の希土類鉱床の開発プロジェクトが相次いで持ち上がっている。

新規プロジェクトの中で最も進展していたのがライナス社が手掛けるマウント・ウエルドの開発だった。豪州で採掘し濃縮した鉱石をマレーシアに運び、ネオジムやセリウムなどに分離・精製して日本や欧州などの需要家に販売する計画だった。すでに販売契約も結んでいた。

鉱山では表面の低品位鉱石の掘削が行われていたが、濃縮工場やマレーシアの分離・精製工場の完成前に、米、欧の金融バブル崩壊とともに資源バブルも崩れ去った。

ここ数年のレアメタル資源の開発プロジェクトには、資源バブルを享受するために、米、欧の金融機関を後ろ盾とするヘッジファンドなどが資金を供給してきた。しかし、金融危機の影響で金融機関、ヘッジファンドともに経営が悪化。資源開発に投資する余裕がなくなり、逆に資金を引き揚げる動きが目立つ。

懸念されるのはファンドで構成された他のプロジェクトへの影響。ライナス社のように資源開発から資金が引き揚げられたら、安定供給体制を図るための脱中国という流れが、中国回帰に後戻りしてしまう。

資源開発は5年、10年という長い歳月を経てようやく設備が動き始める事業。足元は実体経済の悪化が一段と深刻化しているが、景気は必ず回復する。そのときに開発に着手したのでは遅すぎる。

需要増に供給が追いつかないという、直近の資源価格の高騰が再現されることは必至だ。したがって、希土類資源の安定供給のためには、他のプロジェクトは計画通り開発を進めてくれることを祈るばかりである。



プロフィール
増田 正則(ますだ まさのり)

株式会社産業新聞社所属
非鉄金属担当 記者

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