
希土類価格、資源が豊富な軽希土も急騰、年初比4倍に
希土類(レアアース)といえば電気自動車や省エネ家電などに使うモーター用磁石原料のネオジムやジスプロシウムといった、「中重希土類」と呼ばれる元素がとくに注目を集めている。しかし最近はランタン、セリウムなどの「軽希土類」と呼ばれる元素も注目を集めるようになっている。背景にあるのが価格の急騰だ。希土類はランタン、セリウム、ネオジム、ジスプロシウムなど17元素の総称。コンデンサーや触媒などの原料となるランタン、液晶を研磨するセリウムなどは主に酸化物として使われている。一方でモーター用磁石の原料となるネオジム、ジスプロシウムは金属としての用途が多い。
産業新聞社調べの酸化ランタンは先週までキロ23・50?j。年初比で3・7倍に高騰している。酸化セリウムも22・50?jと年初から4・6倍になった。ただしこれは表面的な価格で「実際はここにEL代が加算される」と、あるレアメタル商社の担当者は指摘する。
世界生産の90%以上を占める中国では希土類の輸出について、輸出許可(EL)制度を導入して輸出企業と数量を管理している。ELがなければ希土類を輸出することはきない仕組み。ただし現在の中国国内では、このEL自体も売買されており、本来は輸出許可がない企業でもELを購入して輸出しているという。
中国政府は7月、今年後半の希土類のEL取得企業と数量を発表。通年で前年比40%、希土類の輸出が削減された。この結果EL自体のプレミアムが高騰。スポットで希土類原料を調達している一部の日本の需要家の中には、「EL代としてキロ15?jを上乗せした価格でランタンを成約した事例があるようだ」(同)。本来なら23・50?jのランタンが40?j近くに跳ね上がる計算だ。
主に酸化物として使われる軽希土元素の高騰には金属系の中重希土元素の価格急騰が背景にある。本欄では過去に何回かネオジムやジスプロシウムの需要増と中国政府の輸出削減に触れているから詳細は省くが、これら中重希土の価格高騰はいわば自然の成り行き。 「とくにジスプロシウムは、希土類とは関係ない人まで在庫を抱え込んで価格を吊り上げている」と関係者は指摘する。この結果、金属ジスプロシウム価格は年初から7月末にかけて2倍以上に急騰し、一時は370?j近辺まで上昇した。金属ネオジムもEL代を含まない価格で足元60?j台と年初比2倍になっている。
希土類の中でも中重希土元素は資源量が少ない。とくにジスプロシウムは主産地の中国でも南部の限定地域にしかないため最も希少性が高い元素の一つ。対する軽希土元素は「余ったものが野積みされている」(生産者筋)ほど資源量が豊富なため、金属ネオジムの5分の1程度の価格しかつかない。
価格が高騰している直近でも、金属ネオジムの3分の1の値段である。輸出業者は限られたEL枠の中で最大の利益を上げるために、付加価値の高い中重希土元素に注力している。このため軽希土元素の供給不安が7月以降一気に表面化することになった。
| プロフィール |
増田 正則(ますだ まさのり)株式会社産業新聞社所属 非鉄金属担当 記者 |
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