(2006年08月02日)

[特別記事] 加藤雅一先物協会会長に聞く

日本商品先物振興協会会長に就任してまもない加藤雅一氏(岡藤商事会長)に直面する諸問題について聞いた。改正法施行から1年余、営業行為規制の強化等の影響で市場の流動性が低下し、随所で様々な問題が起きている。先の国会では「金融商品取引法案」の本題から外れた商品先物取引の規制のあり方を巡る論議に多くの時間が割かれた。今後の成り行きによっては商品先物取引「業」そのものの存続も問われかねない切迫したこの状況にどう対応しているのか―。

――会長就任と同時に、早速諸問題に取り組んでいる。協会副会長時代とはまた別の視点で、業界情勢を捉えるようになったのでは。協会運営の抱負を改めて。

「7月に会員代表者懇談会を開催した。最近の厳しい経営環境下で、この閉塞感を何とかして打破していかなければならないと改めて感じた。今後、先物協会として取り組むべき課題も多く、いずれも一朝一夕に解決できるものではないが、できる限りスピーディーな協会運営を行っていきたい」

――昨年5月の改正法施行後の業界は、取引員各社による営業がすっかり様を変え、過剰ではないかと思えるほど萎縮したように見える。改正法そのものの受け止め方についても、温度差があるのでは。

「出来高減少の要因は、改正法による行為規制の強化や純資産額規制比率の導入、加えて個人情報保護法の施行といった社会環境の変化も重なり、会員の受託業務が相当に萎縮し、また自己取引にも抑制が働いたことにある、と考えている」

「行為規制を守るのは当然だが、営業現場等では委託者保護ガイドラインの理解にギャップもみられ、必要以上に委託者の取引を抑制してしまった面もある。自己責任に基づく主体的な投資判断のために、われわれ取引員がきちんとサポートするということを基本に考えると、ガイドラインの運用面では工夫も必要だ。市場振興戦略会議での議論を踏まえて、主務省や関係団体ともよく相談し、会員への説明会を通じて制度の適切な運用が図れるよう努めたい」

――この1、2年、「退場」のケースを含めて取引員が減少し、一方では営業店舗の縮小と業界規模が小さくなってしまった。この現実をどう見るのか。市場の流動性低下と併せて。

「確かに取引員数は減少しているが、一方ではここ数年、業態が様々な広がりをみせている。IT技術を積極的に導入したり、証券界に参入するなどの経営の多角化や逆に分社化をしたりと。また外資や証券会社の新規参入もある。制度改正によるまさに過渡期にあって流動性が低下しているが、その中で取引員各社は新たなビジネスモデルを模索している。そうしたところに選択肢を提示することも、先物協会の重要な仕事の1つ。取次業や仲介業、清算資格のあり方など経営リスクやコストを考えながら検討することが必要ではないか」

――このような業界の現状をどう打破し、閉塞感を取り除いていくのか。市場の流動性回復に向けた戦略は。また、不招請勧誘禁止の問題にはどう対応するのか。

「今国会の『金融商品取引法案』の審議に関連して、商品先物取引の規制のあり方について多くの時間が割かれた。結果的には損失補てんの禁止、広告規制の強化などが盛り込まれるとともに『不招請勧誘の禁止』を検討する付帯決議が採択されるなど厳しい内容になった。商品先物取引はリスク性の高い金融商品なので、より高度な投資家保護が要請されている。来年にも予定されている次の法改正も視野に入れ、法に定められたルールをまず自らがきちんと守ることが重要だ。たとえ1社でもおかしなことをやれば、業界としての取り組みがすべて無に帰してしまう」

「望むべき姿は、適切に法令順守が実行されている社にあってはこれ以上何も制約を受けることなく経営ができること。健全な取引員が発展するよう業界としての自浄作用が発揮されることが大切だ。その上で、正々堂々と制度の利便性を高めるための議論をし、市場振興のための具体策や制度の改善を提案していくことが大事。そこで初めて、商品先物取引が意義のある経済システムであると認められるのではないか」

――業界がこの難局を乗り切った後の「将来像」については。

「商品先物市場は、不可欠な産業インフラとして相当規模のマーケットに、また世界とはいわないまでもアジアのハブ・マーケットになるべきだ。また投資家にとって信頼性のある資産運用の場でなければならない。そうした市場への発展に向けてわれわれ商品取引員は市場の流動性確保に不可欠な市場仲介機能の担い手としてまた、投資家の良きパートナー、良きアドバイザーとして、適切なサービスを提供するという重要な役割を果たしていかなければならない」

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