(2006年08月17日)
[道しるべ] 英旅客機テロ未遂、テロ未然に防ぐ努力
英国における複数の航空機爆破を狙ったテロ未遂事件は衝撃的だった。アルカイダが関与した疑いがあるとみられているが、英メディアによると、事件の容疑者グループの大半はパキスタン系英国人であるという。
一部報道によると、英国のイスラム系移民は南アジア、中米カリブ海、中東など英連邦出身者が多く1960―70年代の英経済拡大に伴い流入が拡大したが、二世世代は社会、経済面の差別などで不満がうっ積しているという。この状態は911テロ以降さらに加速したものとみられる。
先日、国際テロの動向に詳しい近畿大学国際人文科学研究所教授・日本エネルギー経済研究所中東研究センター研究理事の保坂修司氏=写真=にインタビューした【既報】が、その中で同氏は、インターネットとテロが連動している現状を述べた。
同氏は「さまざまな国や地域に不満を持ったイスラム教徒の若者がいて、インターネットは彼らに暴れるための大義やノウハウを提供する」と指摘。さらに、同氏によると、ネットを通してイデオロギー、さらに武器の扱いや爆弾の作り方などまで学ぶことが可能という。今回のテロ未遂事件に関わった容疑者グループもネットからヒントを得たのだろうか。そうだとすれば、電子情報化社会の急速な進展の中でテロ行為の拡大が懸念される。
ともあれ、多数の犠牲者が出る可能性のあった航空機爆破テロを未然に防ぐことができたことは大いに評価できよう。
ただ、その後ブッシュ米大統領が「米国はイスラム教のファシストと戦争をしている」と表現したことが波紋を呼んだ。大統領はこの「事件」について嫌悪感を強調したかったとみられるが、米国内のイスラム団体からは「誤解を招く」との批判が出ている。
当然のことながらイスラム教徒=テロリストではないのだから、誤解を与えるような言動は避けて欲しいものだ。イスラム教徒の不満や怒りを和らげるよう、各国・地域内で話し合いをする、交流を深めるなど努力し、テロ発生を今後も未然に防ぐ行動をとり続けることが肝要だろう。これは、海外から労働者が増えつつある日本とて例外ではなかろう。
(大)
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