(2007年01月12日)

[今年の国際商品動向を聞く(1)] 丸紅経済研究所所長 柴田 明夫氏/海外市場、再び上昇トレンドへ

2007年の商品先物市場がスタートした。昨年は一時バレル当たり78ドル台と高騰したNY原油(WTI油種)を筆頭に金、銅、アルミ相場も上昇を演じ、穀物もようやく秋口から大きく動意付く展開をみせた。今年の国際コモディティはどのように推移するか。丸紅経済研究所所長・柴田明夫氏に聞いた。

――昨年の海外商品相場の動向を振り返って。

「前半と後半で非常に対照的だった。前半は非常に強かったが、後半は調整局面となり、明暗が分かれた。NY原油も7月に史上最高値のバレル当たり78ドル台をつけた。5―7月にかけて総じて過去最高値や数十年ぶり高値をつける動きがみられた。ところが、8月あたりから調整があった。きっかけは日米欧ともに利上げの局面に入ってきたことだ。このため、投機マネーのコモディティ市場からの退出が起こった。そういう中で、原油も下げに入った。引き金となったのは、イスラエルとヒズボラの停戦。(原油が)下がったことによって、いままで供給不足を前提に在庫を積み上げてきたが、在庫の過剰が目立ってきた。原油が70ドルになったことで、需要の伸びが鈍化した。さらに、ハリケーンがメキシコ湾を襲わず、発生数も少なかった。こうした流れを受け、一斉に手仕舞い売りが入った。これに連動して金も下がった。ただ、秋口になると、いままで頭の重かった穀物が小麦を筆頭に上昇に転じた。そして、コーン、大豆に波及した。若干主役が交代しつつある流れの中で、年末にかけては急落していた原油・金などが持ち直しの方向へ動いた。結果的に乱高下があって往って来いの相場展開になった」

「これは上げ過ぎた価格の調整であって、下げの始まりとはみていない。むしろ、それだけマーケットが不安定性を増しているといえる」

――今年の海外商品相場の展望は。

「再び上昇トレンドに戻るとみている。再度昨年の高値をめざすような動きになるだろう」

――たとえば、原油でみた場合、どうか。

「もはや安い原油の時代が終わって、高い原油価格に移った。1980年代後半―90年代は18ドルで推移していたが、新しい価格帯、つまり均衡点が変わる動きに入っており、それがどのレベルなのか模索する段階に入ってきている。これは原油だけではない。非鉄、農産物もそうした段階に入る動きになるだろう」

――その背景は。

「世界の経済を引っ張っている国や地域がどこなのか、それら国や地域がどういう成長の仕方をしているのか、ということを考えた場合、90年代まで市況が低迷していた低価格時代までは、先進8億人弱の日本、ヨーロッパ、米国の先進国が経済をけん引していた。しかし、その先進国は成熟化しサービス化、ソフト化した『先進国』となった。ただ、そのように成長してもエネルギー資源の需要の増加にはつながらなかった。しかし、2000年を境にこの構図が変わって、世界の、中国をはじめとする人口約30億人のBRICsが台頭してきた。これらBRICs諸国の成長の仕方はモノ作りであって、自動車、家電などの耐久消費財を製造している。そのためのインフラを整備していく。港湾、道路、通信網―こういったものを作っていく。そうなると、エネルギー資源の需要に直結する時代に入り、これが市況を押し上げている。これが1、2年で済む景気循環の話ではなくて、社会や需要の構図が変わってきているので、10―20年の動きの中の始まりといえる」

――今年のNY原油相場はどう動くか。

「徐々に需給が引き締まっていく中で、60ドル半ばを中心に、供給途絶懸念が高まれば再度70ドル台を試す場面が何度か訪れるのではないか」

――金はどうか。

「当面トロイオンス当たり650ドルが目標になるだろう。上値は700ドルで、瞬間的に730ドルをつける可能性もある。その辺だと利益確定売りが入る可能性が高い。押し上げ要因は、鉱山会社の供給が増えない中で、需要サイドの要因が大きい。また、地政学的リスクも相変わらず目白押しである」

――地政学リスクで今年は何があると想定されるか。

「イランが核開発を止めないということで、米ブッシュ政権が外交手段で行き詰まって何も進展しないということになると、米が限定的な武力行使をやりかねない。その一方で、サウジアラビアは生産能力の拡大を目指している。今年は原油の供給途絶懸念が沢山ある。ナイジェリア、イラン、イラク、ベネズエラなど、これらの国の供給途絶懸念に対して十分供給できるように、ということをサウジは米国に向けて言っている。09年頃にサウジは、十分供給できる態勢が整う。こうした動きを見ると、イランへの武力行使はあり得るとみている。今年はそれが視野に入ってきている」

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