(2007年01月19日)

[今年の国際商品動向を聞く(2)] NY原油、強基調で平均76ドル

――まず昨年のNY原油を中心としたエネルギー相場の動きを振り返って。

「年初からイランの問題が始まって急にそこから地政学リスクが取り沙汰されるようになった。年金資金が新しくマーケットに入ってきたことも取り沙汰された。そのほかハリケーンが(メキシコ湾に)襲来するといった漠たる不安感から、いたずらに相場が上昇したというのはある。いたずらに、というのは、本当はそれほどでもないのに上がった、と捉えられがちだが、そうでもなくて、実際はファンダメンタルズが強い中で、そういった付加的な要素が入ってきて相場が上昇したのではないか」

「8月からエネルギー相場が下がった。これは、景気が悪くなるのではないかとの観測、地政学的リスクが後退し、在庫増で高値圏で推移しているのはおかしいのではないかという見方が台頭し、さらに、ハリケーンがあまり来なかったため。ただ、この景況感、地政学リスク、在庫、ハリケーンの4つは春先まではすべて買い材料だった。これがガラッと変わって全部弱気な材料にされてしまった。こうしたセンチメントの大転換があった年だった」

――今年のOPECの生産動向について。

「NY原油が(バレル当たり)60ドルを割ると、何らかの減産の話がどうしても出てくる。ただ、原油の需要は非常に堅調に推移するだろう。なぜならば、今年もGDP(国内総生産)成長率は、グローバルでみて4・7%ほどで推移するとみており、GDPが高い水準を維持する以上は、原油の消費量は増えるはず。このような背景から考えると、短期的に在庫が積み上がっており、原油が60ドルを割ったところで、生産カットをすると、今度は逆に生産を絞り過ぎて価格がもっと上がってしまうのではないかというリスクの方が大きいと思う。従って、OPECは以前と比べて非常に難しいコントロールを強いられているという気がする」

――その理由は。

「OPECが増産しなければ、非OPEC諸国が生産するという話になるが、米メキシコ湾の多くのプロジェクトで生産開始が延期された。このため、非OPECの生産はあまり期待できない。現時点で同諸国で明確に生産が増える計画になっている国はロシアとアフリカであるが、ロシアが本当に信頼できる原油の供給元かというと必ずしもそうではない。つまり、非OPEC諸国の供給がある程度期待できない以上、やはりOPECに頼らざるを得ない。そのOPECは在庫状況やNY原油の動向を見て生産をどうするか判断するので、60ドルを割り在庫が積み上がり、在庫を減らさなければいけない、生産を減らさなければいけない、ということになると、過剰に供給が制限されてしまってまた価格が上がってしまう。すべての背景は需要が堅調であるということに立脚していると思う」

――今年のNY原油はどうか。

「今年も強基調で推移し、平均で76ドルをつけるだろう。基本的にファンダメンタルズ(需給の基本要因)は強く、この水準が妥当ではないか。過去最高値を更新する可能性もあるだろう」

――エネルギー相場に投機マネーの存在は欠かせないが。

「ファンダメンタルズが強く上昇すると見ているから、投機マネーや年金資金が入る。投機マネーというと、いたずらに相場を動かして上げたり下げたりするものだという印象が根強いが、上がるか下がるか賭けに出て資金を運用しているわけではない。たとえば、これだけのリターンを見込んでいるからと言われて投資をするわけで、当然どのマーケットで勝てるのか負けるのか冷静な計算があってお金が入ってくる。ファンダメンタルズが強いと判断しているから長い間投資をしようという判断になっていると思う。だから、投機マネーは、すごく悪者扱いされるが、そういった類のお金ではないと思う。むしろ、投機マネーが入ってくるマーケットの方が健全である。株にしろ債券にしろファンド・マネーが入っているわけで、それに文句を言う人はいない。投機マネーは、適性な価格形成のためにやはり必要なわけだ」

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