(2007年01月25日)
[今年の貴金属動向を聞く(下)] NY白金/南アとロシア情勢に注目 園田征次氏

――銀はどうか。
「銀ETF(上場投資信託)により、米国では銀に対する投資需要が見直された。価格が乱高下しやすい状況にある。デジタルカメラの普及でフィルム需要が減少傾向にある中、投資需要は年々増加している。2006年4月に上場された銀ETFは、12月までに3400トンの残高を有し、これで年間生産量の約17%が吸収されたことになる。ETFへの投資は長期保有目的と思われ、相場の長期的な下支え要因となろう。銀のファンダメンタルズ(需給の基礎的要因)には価格高騰の直接的な材料がなく、投機資金が撤退すれば暴落することは必至。投機資金の動きには注意すべきだ。現在銀は、日米金利差などの金融要因によって調整局面にあるが、それでもトロイオンス当たり11ドルを維持している。今後、再び15ドルを目指し高値を更新する可能性がある。予想レンジは10―15ドル」
――白金はどうか。
06年の生産予測では、南アフリカが168・9トンと過去最高、ロシアは横ばいであった。需要面では、自動車触媒需要が急増し過去最高実績を記録。一方、宝飾需要は現物価格の高騰により減少した。02年を境にこの減少傾向は続いている。英国ジョンソン・マッセイ(JM)社によると、06年の世界プラチナ需給バランスは0・6トンの供給不足と推定している。供給不足は年々縮小しており均衡に向かっているとみえる。昨年はプラチナのETFが上場されるのではないかとの思惑が市場に広がり、1200ドル台に急反騰する場面もあった」
――注目材料は。
「まずは南アの鉱山憲章問題である。02年1月に制定された、南ア鉱山産業の社会・経済機能強化憲章(Charter)は、既存鉱山の資産を今後10年間で26%黒人企業に譲渡する、新規鉱山開発は51%以上の経営参加した会社のみ認可するというものだ。また政府は鉱区使用料も徴収しようとしており、そのため採算が合わずに南アの採掘から撤退する会社がでてくる可能性がある。これにより採掘量が減少し、価格が高騰するかもしれない」
「また、ロシア情勢にも要注目である。今年1月、プラチナやパラジウム、ニッケル生産大手のノリルスク・ニッケルというロシア民間企業に対して、ダイヤモンド大手のアルサロが、合併交渉を持ちかけていた事実が明るみになった。つまり、ロシア政府は非鉄の国有企業を作ろうとしているわけだ。また、年初にはヨーロッパを揺るがしたロシア天然ガスの供給停止という大きな問題が起きた。ロシアがウクライナに供給する天然ガス価格を急激に上げ、価格交渉が決裂し、天然ガス供給がストップした。このように、ロシア政府は自国の資源を盾にしてくる可能性がある。国有化されると市場の混乱は必至とみえる。したがって、需給がひっ迫するという前提のもと、ファンドが市場に入ってくると考えられる。予想レンジは980―1200ドル」
――今年の国際市場でのコモディティの特徴は。
「昨年は米国の高金利政策、日本の円安情勢で株へと投資資金が流れた。中・長期的にみると依然として『ドル高・円安』基調の流れは変わらないとみられる。したがって、今年も日米金利差が縮まらない限りドル高、株高、商品安という構図が崩れ難いのでは」
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