(2007年05月28日)

[インタビュー] NY原油、夏は「横ばい」、70ドル厳しく/三菱UFJリサーチ&コンサルティング芥田知至氏

米ガソリン事情を巡り、原油相場が高下する展開となっている。ガソリン事情の現状や、今後の世界石油需要と原油相場の見通しについて、三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員の芥田知至氏に聞いた。

――米製油所稼働率の現状について。

「製油所の稼働率(18日現在)は91・1%となっているが、これは、ハリケーン・カトリーナが襲来した2005年以来の水準。ガソリン在庫の12週連続減少分(およそ3000万バレル)を満たすには、稼働率を少なくとも4%は上昇させ95・0%にする必要がある。今後トラブルがなく稼働率が回復すれば、需給ひっ迫は改善されるのではないか」

――稼働率がなかなか回復しない理由は。

「製油所の老朽化によるトラブル。また、ハイテク化も原因と見ている。生産工程の高度化や経営効率改善のためにIT化を図っているが、管理の複雑化がむしろトラブルの要因となっている。これにより製油所の稼働率が低下し、ガソリン需給をタイトな感じにはしている。ガソリン不足分は欧州から輸入しているが、ブレンド原油高からガソリンも高い」

――米国のガソリン需要が伸びている背景は。

「年初の暖冬が影響している。暖冬期間が長く天候がよかったことから、暖房油のシーズンにも関わらずガソリン需要が伸びた。また、バイオ燃料が多少燃費が悪いとの見方も影響した。しかし、現在のガソリン小売価格はガロン当たり3ドル前半であり、最近は最高値を更新し続け割高とみる。一時的な消費減退に繋がり今後、相場に織り込まれるのではないか。この先3・5ドルには届かず、価格が2ドル半ばに落ち着けば、需要も再び回復するだろう」

――世界の石油需給動向の見通しは。

「原油価格と景気の連動性は高く、世界景気拡大とともに原油価格も上昇するだろう。中国を中心とした新興国の石油需要は増加しており、需給はタイトと見る。中国は、2010年くらいまで高成長が続くのではないか。中国は、消費者物価が安定しており、原油高が続いても景気減退はないだろう。また、現在は米国の景気が後退しても世界景気減速とまではならないのではないか。他のアジア、ヨーロッパの景気の堅調さを背景に、世界石油需要は増加していくとみる」

――現在のブレント高、WTI安をどう見ているか。

「実勢を反映しているのは、ブレントとWTIの中間価格とみられる。ブレント高というよりはWTI安。WTI安は、米ガソリン需給ひっ迫に対し在庫が過剰なことが一因とされるが、WTIの受け渡し地点であるクッシングは、米国内でも景気の悪い所とされる。また、ハリケーンの被災地跡にも近いため、心理的なマイナス要因も織り込まれているのではないか」

――イラン、ナイジェリアの地政学的リスクについては。

「ナイジェリアやイランはヨーロッパに近いことから、よりブレント価格に反映されやすい。ナイジェリアの政情不安は、国内限定の地政学的リスクだけにイラン問題より沈静化しやすく、そうなれば市場へのサプライズとなろう。イラン問題は、来年の米大統領選挙後に大きな進展があるのではないか。米国とイランの大統領選挙はほぼ同時期に行われるので、大統領が仮に交代となればお互いに交渉しやすくなろう。このイランとナイジェリア問題が解決に向かえば、WTIは10ドル超下落する」

――年央に70ドル台との見通しは変わらないか。

「年初に、6―7月にバレル当たり70ドル前半の高値としたが、今は年末にかけて70ドル近くと見る。70ドルには届かない可能性も出てきた。足元の米景気が弱いことから、夏場のドライブシーズンは横ばいで平均63ドル。年後半の米景気の持ち直しとともに、10―12月は65ドルを中心に5ドル前後で推移する展開とみている」

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