(2007年07月04日)
[インタビュー] 適正な「価格発見機能」を―みずほ総合研究所シニアエコノミスト・吉田健一郎氏

金融市場から見たコモディティという観点で、前回に引き続きエコノミストである吉田健一郎氏に聞いた。
――株とコモディティの相関性が高まっているが、この状況は続くのか。
「エマージングの株式と商品市況の連動性という意味ではその相関性は高いと言える。なぜなら投資している原資は、米株式の値上がり益だったりするわけで、両者はリスク許容度を通じて矢印で繋がっているような構図と言えよう。よって、株のリスク許容度が上がればコモディティの許容度も上がる。メインプレイヤーが金融関係であると、どうしてもこうした相関が出てしまう。実際、ゴールドマン・サックスなどは一つのリスク分散としてコモディティを推してきたが、コモディティのマーケット化が進むにつれて相関性が高くなった」
「ただ難しいのはコモディティはペーパーの世界だけの市況ではないので、フィジカルな分野が露骨に影響するという点。例えば、中東でアメリカに関係のない戦争が勃発したとして、株には影響しなくてもコモディティは暴騰するとか。そういった切り離された状況下であれば、相関性は低くなると見られる」
――欧米ファンドの東京市場参入が相次いでいるが。
「彼らはシンガポールなどとアービトラージ(裁定取引)している。東京市場は、いわゆるフロアトレーダーがいるような市場ではないし、NYMEXと比較しても大口の実需があるようにも見えない。投機的なファンドがメインプレイヤーになってしまうとマーケットが支配されるのは免れない。銀行などもっと実需のファンドの参入が必要なのではないか」
――現在、日本の商品先物市場の改革が叫ばれているが。問題点は。
「まず、限月が短すぎる点。値幅制限も限られており、価格対応が難しい。銀行が入りずらいのもそこが問題なのでは。NYMEXは限月が5年先とその差は歴然である。加えて、ヘッジ認識が薄いこと。一般投資家が少ないことの一因と言える。欧米市場に対抗するには、マーケットの整備が必要」
「ポイントは、いろいろなプレイヤーが参加しているマーケットであるということ。そのような市場であることが、『適正な価格発見機能』を発揮させられる条件なのではないか。それは個人でも良いし、もちろん欧米系ファンドでもよい。また例えば、元売業者が値決めだけではなく、もっと実際にヘッジされた方がいいのではないか。それが流動性の高いマーケットということなのではないか」
ソーシャルブックマークサービスにこの記事(ページ)を登録