(2007年08月20日)

[インタビュー] 「増産」先取りの逆ザヤ

WTI価格が、ここにきて調整局面を迎えている。2007年前半を振り返ってのNYMEX原油市場の特徴や今後の見通しについて、ばんせい証券・市場調査室長の武田真氏に聞いた。

――07年前半のWTI安・ブレント高の構図と、WTI順ザヤの背景について詳しく。

「ナイジェリア原油を巡る供給不安がブレント原油の相対的堅調につながった面があるが、全般にWTI安の要因が大きかった。07年前半のWTI価格は騰勢鈍く、短期で仕掛けるファンドは製油所トラブルでひっ迫感が著しいガソリンを買い進む一方で、原油については買いよりも売りの戦略に傾いていた印象が強い。投機筋における原油の買い興味が盛り上がりを欠いたのは、期間構造が大幅な順ザヤであったことも大きい。順ザヤだと買い方はロールオーバーによる損失がかさむ」

「中長期的な将来の供給不安の強まりなどを背景にNYMEX原油市場では05年末から順ザヤが続いた。今年に入ってからは、受渡地点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫が急増したことも期近限月を圧迫したが、4月半ばを境にクッシング在庫は減少傾向をたどり、NYMEX原油市場の期間構造も7月に順ザヤから逆ザヤに転じている」

――今後の、原油相場の見通しを。

「ドル安・ユーロ高による対外購買力の低下で石油輸出国機構(OPEC)は増産に消極的。国際エネルギー機関(IEA)の8月の月報によると、07年第4・四半期のOPEC原油生産所要量は日量3260万バレルまで膨らむと予測されている。OPECが増産しなければ世界の需給バランスは日量200万バレル超の大幅な在庫減となる見通しだ。米国を初めとする石油消費国からの増産圧力が強まる中、OPECは生産拡大を強いられるだろう。NYMEX原油市場の期間構造が順ザヤから逆ザヤに変化したのは、OPEC増産による価格下落の公算を織り込む動きとの見方も可能だ。9月総会で増産に踏み切った場合、9―10月は調整局面が続き一時的に65ドル近辺まで下げると見ているが、暖房シーズン到来とともに反発基調となり、8月1日に付けた上場来最高値78・77ドルを年末にかけて再び試す展開を想定している」

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