(2008年02月26日)
[インタビュー] 止まらない国際商品高<下>/三菱UFJR&C芥田氏/技術進歩、金属価値高める
――銅の足元の現状について。
「非鉄マーケットは、昨年後半から世界景気鈍化の影響を受けた。銅については、エレクトロニクス関連の需要鈍化を織り込む形で弱い相場展開が続いたが、腰折れする状況ではない。実際に需要が落ちるというよりむしろ、今年に入るまでメーカーが生産を少し据え置いたりとか、あるいは中間ベンダーが在庫を抑制する動きなど、供給サイド側の慎重な動きが広がったとみられる。そうした中、比較的早く需給の調整が進んできたといえよう。1月には中国の大雪から産銅メーカーが影響を受けるなど需給ひっ迫感が生じている」
――建設関連の需要への影響は。
「特に日本と米国の建設関連需要はかなり弱い。ただ、米国の弱さは昨年前半で織り込み済みだったとみられる。一方、日本の弱さというのはサプライズであり、この影響が銅やアルミニウムにも出た。ただ、時間が経てばある程度戻してくるだろう。こうした夏場の需要の戻りを織り込む形でLMEで8000ドルに達するかどうかをみていたため、予想していたより上昇は早い。銅は、それほど悪材料が見当たらないというのも要因としてある」
――在庫が急減している中、春頃の価格見通しについて。
「中国の産銅活動が鈍った影響と、チリの生産がなかなか上がらないという供給サイドの影響と2つある印象だ。中国は今後需要がかなり強くなる可能性もあり、昨年より需給が緩むということはないのではないか。緩むとすれば目先だと思われる。米国の景気指標が良かったことや在庫の減少から足元は相場が強くなってきているが、4―5月にかけてはまた在庫が増えることも起こり得よう。相場の方向感として弱くはないが足元の上がりが早かったことや、この先、悪い米国景気指標や在庫の増加などの材料が出てくることも考えられ、3カ月先物として見た場合7500―8300ドルか」
――一方、アルミニウムはどうか。
「銅よりも強いとみている。日本の建設関連の影響はアルミのほうが大きかった。銅や鉄鋼、ステンレスといったアルミと代替性のある金属が大きく値上がりした中で、長期的に見てもアルミにはかなりの出遅れ感があった。電力・エネルギー価格が上昇しているためコスト要因といった面もあったのだろう。特に中国は、国内エネルギー価格の上昇が避けられなくなってきており、むしろ政策的にエネルギー高を推進する動きもある」
――電力問題が指摘されているが、この影響と今後の価格見通しについて。
「雪は一時的だが、雪が降る前から南の地域では水不足で電力が足りないこともあった。中国の電力不足というのはやや慢性的なものとなっている。また、景気過熱抑制策という意味でも電力料金を上げることや、環境対策の推進などはそれなりに有効かもしれない。今後も、ますます引き締められるであろう」
「今年の年末くらいにアルミは3000ドル辺りとみていたが、こちらもかなり上昇が早い。今年の後半や来年にかけては、中国が輸入国に転じる可能性も出てくる。また、大手企業の合併が相次いでいる中、その先には寡占というのもあり得よう。アルミは底堅いとみており、今年の見通しは底は浅く2600ドル。上は3300ドルくらいか。目先1カ月では3000ドルと言わざるを得ない」
――銅・アルミ以外の非鉄はどうか。
「非鉄は全般的にタイトな状況が続くであろう。ニッケルはステンレス在庫の調整が少し遅れている感じだが、春先頃から引き締まってくるとみられる。昨年12月頃には今年の3月は増産すると思っていた。ただ、1月に入り米国の景況感がかなり悪くなったため、増産という動きにはならなかった。ステンレス系とか超合金系は、資源開発や航空機といったニーズが強い」
――資源価格が高騰すると景気への影響も懸念されるが。
「1つ考えられるのは技術進歩である。金属だと薄く延ばして少しだけ使うとか、金属の塊の替わりにメッキを使うなど高い金属でも対応ができる。これは金属の価値を高めることにもなる。家電など全体的に占めるマテリアルズの付加価値はそれほど高くはならないだろう。やはり知的財産の価値とか、ブランド力とかがまだ相対的に大きいのでは。そうした中、原材料高を吸収しやすくなっている」
「知的財産の価値が少ない原材料などの無付加価値部門については、圧倒的に中国の競争力が強い。中国が安い人件費、土地を使って安い商品を先進国などに供給する。これにより原油高、金属高のような原材料高にあっても先進国はそれほどインフレにならずに済むという状況が起こっている。石油危機時のような、消費者の購買力が低下し景気が悪くなることは起こらないだろう。原材料高でも消費者物価は落ち着いており、それゆえに世界経済は拡大を続けているとみられる」
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