(2008年06月20日)

[インタビュー] 原油市場を分析する<下>/みずほ総研 吉田氏/新興国の経済がカギ

――インフレ懸念が高まっている。

「インフレヘッジの資産としてコモディティが選ばれている。ただ、インフレの一つには油価の上昇があるわけで、そういう意味ではマッチポンプ的な状況なのかもしれない。その間に、米系の大手証券などが非常に強気な見通しを出してきた。NYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)の市場参加者の価格期待値は、かなり上方修正されたであろうが、現物の需給動向とNYMEXの中での認識に、ややブレが出ている感じを受ける」

――スタグフレーションの可能性も。

「先進国で景気が悪化しても、物価は高いままとみている。景気が悪くなるのになぜ油価が上がるのかは、先進国でのスタグフレーションシナリオを見るのか、世界全体で景気が悪化するのか、見方によって違いがある。カギは新興国の経済がどうなるのか。大きく下落するシナリオを考えると、先進国だけでなく途上国でも景気が悪化し需要が落ちる。こうなると、もはやスタグフレーションシナリオとはなり得ない。スタグフレーションは、ある程度の世界経済のデカップル(非連動)が残存しなければ続かないだろう。今のところ途上国は底堅い。中国経済が減速するとの見方もされているが、それでも9%成長といわれており、それなりに強さは残る。そういう意味では、最近のアジア製品価格の動向は注目する必要がある」

――足元の原油価格について。

「油価高騰のペースは、需給環境から見ても上がり過ぎており、その分くらいは押してもいい。現物面から見ると需給ひっ迫はそれほど強くはなく、少なくとも140ドルを超える水準ではない。年初は100ドルだったが、40%上昇するほどの材料が出ているわけでもない。

――CFTC(米商品先物取引委員会)は監視強化に動いた。

「一時的には、議会から監視強化論といった圧力が強まっていたと思われ、それに対応したのであろう。また、実態が分からなかった部分に光を当てる意味もある。今、インデックス系プレイヤーが価格操作をしているのか注目されているが、米エネルギー省は、今の相場は需給で説明できるといったスタンスから、OPEC(石油輸出国機構)に増産を求める形をとっている。そのため、この相場は投機であったとか、バブルといった話にはなりづらい。

――今後の原油価格の見通しは。

「夏場に、もう一度高値をトライし、140ドル台後半まで上がっていく可能性はある。

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