(2008年06月23日)

[インタビュー] 今後の商品市場のあり方/経産省・小山氏/機能強化は国家的戦略、海外や金融資金を取込む

産業構造審議会商品取引所分科会が、夏に再び開かれる。昨年まとめられた中間整理では、業界の方向性が示された。市場強化に取り組む中、業界の現状をどのように見ているのか。経済産業省・商務情報政策局・商務課長の小山智氏に聞いた。

――昨年、中間整理がまとまった。

「中間整理で決まったポイントはいくつかある。まず、金融と商品との融合。画期的であったのは、商品市場を機能強化すべきと『金融・資本市場競争力強化プラン』に含まれ、国家的戦略の一部ということが明らかになった。昨年、東京工業品取引所を中心とした、工業品競争力の強化が競争力プランの中にあった。その中で、行われてなかったのがクリアリングハウスの強化。今、JCCH(日本商品清算機構)経営改革推進会議の中で、具体的な進め方について議論している」

――中間整理にある委託者保護について。

「喫緊にやらなければならなかったのは、海外商品および海外商品取引類似である、ロコ・ロンドン、海外オプション取引のトラブル件数が非常に増えていること。国民生活センターに依頼をして、苦情・相談件数を再度分類し直したものを見ると、特に増えたのは、海外先物取引法では対処できなかった非規制海外先物取引。3年前は大体60件だったが、平成19年度は1200件近くと20倍になった。制度として不備なところは、海外先物等小委員会で見直しを行っている」

――国内のトラブル件数については。

「一応3桁の、894件(平成19年度)になっている。もう少し時間が経てば1000件くらいになるかもしれないが、大体5分の1になってきており、一定の成果は上がっていると思う。ただ、それでも証券などに比べ、件数の頻度は1桁、2桁多い。10万口座しかないのに、毎年1000件の苦情相談があるというのは、割合として低くはないと思っており、解消に向け努力をしていく」

――業界のイメージ改善策などはあるか。

「そこは、業界や取引所が一緒になって考えなければならない。国内と海外先物取引が混同されイメージが悪くなっている部分があるため、行政は、海外先物について問題が起きないようにし、国内のイメージ悪化につなげないようにする。また、国内先物は日本の経済にとって必要であることを、分かってもらう努力が必要である。信頼性を高めるためには、とにかくトラブルを減らすこと。イメージというものは簡単には良くはならない」

――市場競争力強化の中、出来高が低迷している。

「海外と比べ、伸びていないということは明確である。競争力強化は簡単に言えば、流動性を高めるために取引所とJCCHの両方を機能強化していくこと。世界的な信頼を得るためには、クリアリングハウスを使いやすくしなければならない。海外から見るとクリアリングメンバーは、財務的には完全に安心できる人しか入っていない。日本の場合、平成17年から約2年で4社がデフォルト(債務不履行)を起こすなど、信じられない状況となっている。一方、取引員のビジネスモデル見直しについては努力されている。以前のように、朝から晩までテレコールではなく、セミナーを行うなど個人のお客様に対応している」

――出来高増加に向けて。

「もし、市場に個人が入るのなら、商品ファンドのようなファンド経由やインターネット。また、ミニ商品やロスカットを活用し、リスクが大きくならない形が良いのではないか。さらに、海外や金融からもお金を持ってこなければならない。そのためには、商品を対象としたETF(上場投資信託)を作る。今、国内は投資信託が公募だけで約60兆円、私募で90兆円くらいある。例えば、国内の市場に上場した金のETFができれば流動性が入ってくるだろう。年金基金などのファンドはインデックスを買う。アセットマネージメントなどに聞いてみると、個別の品目とか石油とか、特色を持ったインデックスが必要のようだ。値幅制限があまりに狭いと信頼性が落ちるから、もう少し拡大してもらう。これにより、国内の金融市場から流動性が入ってくると思う」

――今後の課題など。

「取引所自体が、もっとマーケティングをしっかりやるべき。どういった上場商品があれば、皆さんが実際に取り扱ってくれるか。今回、新日本石油や出光興産が市場に入ってきてくれた。今度は、中堅や中小の精製業者や販売業者などに、取引所も取引員も一緒になって、積極的にPRするのも良いのではないか。私たちは、市場監視をしっかりとやらなければならない」

ソーシャルブックマークサービスにこの記事(ページ)を登録
ブックマークに追加する