(2008年10月06日)

[インタビュー] NYMEX、フロアトレーダー/ヴァンテージ・トレーディング社長/ティム・ジェニングズ氏/フロアから電子化へ/

ヴァンテージ・トレーディング社長、ティム・ジェニングズ氏は、NYMEXで四半世紀以上にわたりフロアトレーダーとして活躍している。電子取引の流れが加速している現在でも、オープンアウトクライ(フロア内で大声を張り上げながら手振りで行う売買取引)の重要性と価値を見出している。同氏に現在の取引環境の現状や見通しなどについて現地で聞いた。

――フロアで取引する際どのようなことを重視するか。

「他より先んじて優先的に商いを進めるために日中の値動きを注視する傾向があり、常に値段を見ている。市場(フロア)から出てファンダメンタルズに関するニュースがないか調べようとすることがあるが、それでも相場の方向性がはっきりするようなニュースを得られないときがある。その間にも価格は動いており、数字を見ることができないことがある。数字がテクニカル的に重要な水準に到達したことがあった。テクニカル的な部分も見ており、これに基づいて立会場でシグナルを出そうとする。トレンドをキャッチして動きを読むためにこのようなことをしている」

――年末にかけての原油相場の見通しは。

「値動きの非常に激しい状態が続く中、予測するのは難しいが、世界的に重要なインパクトのある出来事に反応して110―115ドルのレンジで動くのではないか。強気でみている。(7月半ばに)147ドルをつけたが、これは現実的な数字ではないと思う」

――どれくらいの期間トレードしているか。

「1982年からずっとフロアでトレードしている。私はフロアトレーダーだが、電子取引プラットフォームも見ている。明らかに電子取引導入で出来高が増加しているのがわかる。電子取引の活発化がマーケットにボラティリティをもたらしていると思う。これは以前とは全く異なった市場を構築している。ボラティリティの増大は、より多くの市場参加者が存在することを意味する。これは良いことだと思う。これは、私のフロア取引に対するこだわり、思いいれといったものを大きく変えることになった。フロア取引からスクリーン(電子)取引へのシフトが進んでいるとも言える。私のトレーディング・ライフの中での大きな転換点の一つだ」

――トレーダーになろうと思うに至った動機は。

「私はオープン・アウトクライのシステムが好きだ。日々違った瞬間がある。そういうわけで私はフロアへ降り立っている。つまり、毎回ゲームプランを立て、そのプランに従って執行しようとする。うまくいくときもあるが、いかないときもある。うまくいかないときは、なぜそうなったのか追求しようとする。フロアの中ではまるでスポーツイベントの主役になっている気分を味わっている。開始のベルが鳴り、4、5時間競いあってクロージング・ベルが鳴る。その中では、損益や何をどのように遂行したかが大きなポイントになる。スポーツのように競い合っているが、知的で繊細な部分もある。私がフロアトレーダーとして長年商いを続けているのは、以上のような理由からだ」

――手に持っているそのマシンは何か。

「これは、電子取引プラットフォームだ。基本的にサイド・バイ・サイド(フロア取引と電子取引を並行して同時に行う)だ。電子上での動きを見ながら、フロアで意思疎通を図りトレードで勝つことを目的としている。(このマシンを持ちながら)われわれは、オープン・アウトクライ(立会場内で大声を張り上げて手振りで売買すること)の取引をすることができる。しかし、同時にこれ(電子取引のマシン)を使って取引も可能だ。だから、これを使いながら取引上の戦略を練っている。裁定取引(サヤ取り)などもできる。このように、このマシンは非常に有効なツールとなっている。電子取引においては誰でもどこでも、たとえば机上でも取引ができ、取引上のコストを削減することもできる」

――オープン・アウトクライのシステムが消滅する可能性についてどう思うか。

「どう見ても自分はオープン・アウトクライに適している。だから今までフロアで取引を行ってきた。オープン・アウトクライがなくなるのは自分にとって耐え切れないことだ。すでに述べたように、私は1982年から先物トレーダーとして取引している。私はテクノロジー上の革新が起こったことに気付いている。それにより市場参加者が増加したことも認める。それは良いことだと思う」

「その一方で、電子取引プラットフォームを用いての取引はどうも私にとって非効率的なものに感じる。それは取引上のコストを削減するものだとは思うが、オープン・アウトクライの独特な利点や培ってきたノウハウもある。ただ、注文をさばくのにオープン・アウトクライにおける肉体的な限界をこのマシンで補うことができ、すべての注文を処理することが可能だ。このように、フィフティ・フィフティでミックスされた形で取引を遂行するのが良いのではないかと思い、このマシンを常に携帯してフロアで取引をしている」

――何年ほどこのマシンを使っているのか。

「恐らく1年半ほどになると思う。それほど長い間使用してきたわけではない」

――最近使い始めたわけだ。

「個人的にマシンを使うのに本当に気が進まないのは事実。しかし、他の市場にアクセスすることも可能であることなどを考えれば、それは必要不可欠というほかない」

――今後の目標は。

「私はフロアに来てチャレンジし士気を高揚させて取引するスタイルを好む。フロアにいる我々は運命共同体のようなものを形成している。ただし、今後はもしかすると、取引所がフロアを維持し続けるのはコスト上、意味がないとはっきり言うかもしれない。そうなれば明らかに自らフロアを去ることになるだろう。しかし、今の段階ではこのような活発な環境の中にいるのが良い」

「先日、友人のオフィスを訪ねた。そこは全くひっそりと静まり返っていた。それに比べここフロアでは非常にダイナミックでエネルギーに満ち溢れている。そういうわけで取引を楽しんでいるのだ。デスクに座って仕事をするのと違って、己の肉体を駆使し時に荒っぽい。もうあと3、4年はここにとどまっていたい」

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